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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090911-00000003-voice-pol

日教組の「悪法支配」を許すな/八木秀次(高崎経済大学教授)、三橋貴明(評論家・作家)

◇明確になった「いちばんの敵」◇

 八木 大方の予想どおり、この総選挙では民主党が勝利を収め、いよいよ政権交代ということになりました。

 この選挙期間中もテレビの報道番組などに出てくる民主党議員は保守系で、若くて清潔そうな方々が多かった。だからこそ、自民党のこれまでの不甲斐なさを見て、「一度、民主党に政権を渡したほうがいい」と考える有権者が多かったということでしょう。しかしそうやって街頭演説やテレビに出てくる人たちと、実際の民主党の政策決定の主導権を握っているところとは、まったく違う。そのあたりのことをマスコミはいっさい明るみに出していないわけです。

 実際に民主党はどのような組織に支えられているかというと、まずは労働組合の連合。ことに連合のなかの自治労や日教組などの官公労組が強力な支持基盤です。さらには在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)、在日本大韓民国民団(民団)、部落解放同盟ほか、さまざまな左翼の市民運動団体が民主党を支えている。また、民主党の事務局を支えているのは旧社会党の社会主義協会派の人たちで、彼らが政策決定に大きな影響力を行使しています。このような事実は大きく報じられることはなく、ほとんどの有権者には届いていません。

 いよいよ民主党政権誕生ということになると、いままで明るみに出てきていないことが次々に表に現れ、隠然たる支持基盤であった左翼勢力が年来主張してきていた政策や法案が次々と現実のものとなるでしょう。三橋さんは人権擁護法や東アジア共同体が実現した近未来を描いた『新世紀のビッグブラザーへ』(PHP研究所)という仮想小説をお書きになっていますが、いよいよそのような社会が到来するのではないかと思われて、私としては背筋が寒くなります。

 三橋 この本のいちばんのポイントは、「情報が止められる」あるいは「意図的に間違った情報が流される」ことによって、知らないうちに社会もわれわれ自身も変えられてしまう恐怖です。人権擁護法やマスコミの偏向報道によって暗黒社会となる近未来世界を描いたわけです。

 今回の選挙でも、やはりマスコミの報道姿勢は大いに気になりました。たとえば月額26000円を中学卒業まで支給するという「子ども手当」。お子さんのいる有権者は喜んだかもしれません。しかし、その財源として所得税の配偶者控除や扶養控除などを見直すといいます。その結果がどうなるか正確に報道されたでしょうか。民主党は「中学卒業までの子供のいるすべての世帯で手取り収入が増える」としていますが、子供が中学を卒業したあと、または子供がいない家庭はどうなのか。人生全体を通してみたら、はたして収入が増えるのかどうかなど、正しく検証されたでしょうか。

 もう1つ、たとえば高速道路の無料化。その財源として予算を全面的に組み替えて新しい財源を生み出すといいます。しかし、高速道路には合わせて30兆円を超える借金がある。これを返済するときに、本当に国民の負担が増えないのか。その検証もマスコミはほとんどできていなかった。

 さらに「ニコニコ動画」というWebサイトの生放送で、鳩山由紀夫氏が「日本列島は日本人だけの所有物ではない」と発言し、ネットの世界では大変な騒ぎになりましたが、これをどれほどのテレビや新聞が取り上げたでしょうか。

 とにかく民主党の政策には「裏」がある。そこに強い光を当てないマスコミには作為的なものを感じざるをえませんでした。民主党の支持勢力に日教組や大韓民国民団などがいるというのはたしかに問題ですが、しかしべつにそういう政党があってもいいし、そういう政党をつくることは自由です。いちばんの問題は、その種の情報がきちんと国民に流れないことなのです。いま述べた財源の問題も同じです。そのようなことがオープンになり一般の国民に知られたうえで民主党が選ばれたのであれば、たしかにこれは民意でしょう。しかし今回本当にそうだったか。事実を隠している人たちこそが本当の悪なのです。そういう意味で今回の選挙では、日本国民のいちばんの敵は誰なのかが明確になったと思います。

 八木 自民党と民主党の本当の対立軸は、たとえば外国人参政権や教育政策、歴史認識など、国の在り方そのものに関わる問題にこそあるはずなのです。外交・安全保障も違いはありますが、相手のある話ですから、現実的には大きく変わらないかもしれません。まして経済政策や社会保障は、現在の体制のなかでやるわけですから、自民党も民主党もそれほど大きく変わりようがない。しかしマスコミは、国の在り方に関わる問題や外交・安全保障の問題はどちらかといえば矮小化し、経済政策的な部分ばかりを取り上げたがる。そうすると違いは見えてこないので、有権者は見栄えのいいほうを選ぶしかない。1枚皮をめくると、非常に醜いものが出てくるかもしれないのに、です。その点、インターネットのメディアはどうなっているのでしょうか。三橋さんはまさにWebの世界から彗星のように登場されたわけですが。

 三橋 ネット上では、さまざまな人がいろいろな情報を基に話します。そうなるとそこに「集合知」が生まれる。つまり、多くの意見が交換されるなかから、なんとなく正しいものが見えてくるわけです。このようなネット上の意見がどれほど現実の社会に影響を与えているかといえば、せいぜい6%ぐらいだといわれています。いまのところまだその程度ですが、逆にいえば、もう6%という言い方もできる。

 たとえば「戦時中に朝鮮人が強制連行された」という神話があります。学問的にはすでに否定されていますが、しかし、あれをここまで社会に浸透させたのは、6%どころではない1%以下の人たちでしょう。そう考えれば、6%というのはそれなりの力があるんです。目的意識をもって動くことができれば、6%でも十分社会を変えられると思います。経済学者のフリードリヒ・ハイエクが「社会主義者からわれわれが学ぶことは何もないと思っていたが、たった1つあった。それは彼らが、繰り返し語ることだ」と述べています。それを保守の側もやるべきでしょうね。

 八木 国内の左翼も、あるいは中国、韓国もそうなのですが、うんざりするくらいのしつこさがありますからね。嘘も100回いえば本当だと思う人も出てきてしまいます。

◇外国人参政権は「愛のテーマ」?◇

 八木 今回の衆院選では、共産党も社民党も、何とか改選前の議席数を維持するかたちに終わりました。一方で、民主党のなかに左翼が入り込んでいる。選挙前の話ですが、民主党の長島昭久氏は、民主党内には長島氏のような保守的な考え方の人が2割。はっきりした左翼が2割。残りの6割がどちらでもない、その時々の風でどちらでも動く人たちだと指摘していました。

 三橋 本当の左翼の2割の人たちはテレビにもあまり出てきません。出ると一発で党の正体がバレてしまいますから。

 八木 ただ、実際の組閣がどうなるかはわかりませんが、民主党のネクストキャビネット(「次の内閣」)の閣僚メンバー21人のうち、6人が旧社会党出身でした。心情的に「左翼組」の菅直人氏や小宮山洋子氏などを足せば、閣僚の3分の1が彼らに占められている計算になります。かなりの実権を左翼勢力が握っていることは、じつは明白なのです。

 私は民主党政権は、まさに「自社さ連立の再来」だと思っています。「自社さ連立」の村山政権はわずか1年半でしたが、その期間にそうとうのことがなされています。

 歴史認識に関する村山談話しかり、日教組との関係でゆとり教育が強化されたこともしかり。男女共同参画社会基本法の基本的な考え方は、村山政権誕生後1カ月以内に審議会が設置されて決められていった。法制審議会が夫婦別姓や非嫡出子の相続分を嫡出子と同じにせよという民法改正の考え方を打ち出しましたし、自治労や日教組が現場でやりやすくなるように、地方分権推進委員会を設置して中央省庁の権限を大幅に減らした。とくに文部省は教育委員会に対する是正指導の権限を奪われたわけです。のちのちまで影響力を残せるようなものをかなり埋め込んでいて、それはいまだに克服されていません。

 民主党政権はそんなに長くもたないだろうと踏んでいる人がいるかもしれませんが、たとえそうなっても、政権を去ったあとも影響力を行使できるようなものを、おそらく「2割の左翼勢力」が短期間のうちに残していくはずです。

 三橋 そのようなもののなかで、いちばん初めに来るのは、やはり外国人の地方参政権ではないでしょうか。

 八木 鳩山氏は、代表就任後の6月5日に韓国を訪問して李明博大統領と会談したとき、「鳩山代表は日韓関係や在日韓国人問題で進んだ認識をもっている」と切り出されたのに対し、「おかげで民団の方々の支持をいただいている」と答えていますからね。これでは外国人参政権問題の話で言質を取られたとされても仕方がない。つい本音を出してしまったのでしょう。先ほど三橋さんが紹介された「日本列島は日本人だけの所有物ではない」発言についても、その後質問に答えるなかで、「これは大きなテーマ、まさに愛のテーマだ。友愛といっている原点がそこにある」と語っています。

 公明党の太田昭宏氏も6月28日に来日中の李大統領と会談し、外国人参政権について「党として一致して推進していこうというのが公明党の立場。国民の理解を得ながら推進していきたい」と述べ、李大統領から「公明党は誰よりも進んだ考え方をしている」と褒められています。民主党政権の政策に公明党が賛成すれば、たちどころに成立でしょう。

 三橋 日本では、同じように地域に住んで、同じように税金を払っているのだから、地方の参政権ぐらい外国人に与えてもいいのではないか、と考えている人がけっこういます。しかし、たとえ地方参政権だけであっても、たとえば一定の主張をもつ外国人が大挙押しかけて一気に片方向に投票活動を行なえば、先の都議選後のようにある種の風が生まれてしまい、その結果、国政選挙に影響を与えることは十分に想定できるわけです。地方参政権だから大丈夫などという理論は成り立ちません。ここはもう「ゼロか100か」の世界で絶対に譲ってはいけない部分だと思います。

 八木 自衛隊法でも、地方自治体の長に有事の際に一定の権限を与えています。日本ではあまり意識されませんが、ほかの国では国籍をもつということは、その国の国防の義務を有するということです。他国に対して国防の義務をもつ外国人が、地方自治体の政策を左右することは、直接に国防安全保障に関わる問題になってしまいます。

 三橋 「対馬は韓国のものだ」という議論が韓国では盛んで、韓国の地方議会には対馬は韓国領だと決議したところすらあります。もし本当に外国人参政権が通ったらどうなるでしょう。たとえば運動が盛り上がって、何十万の在日韓国人が対馬に外国人登録を移し、対馬の議会で「対馬は韓国のものだ」と議決したらどうなるか。そんな状況が起こりうることだって考えなければいけません。

 諸外国を見ても、外国人参政権のせいで社会が分断状態になってしまった例も多い。たとえばオランダでは外国人地方参政権を実現した結果、もともと大量に入ってきていたイスラムの人たちが参政権をもつことになった。そして地方コミュニティがバラバラになり、異文化対立が先鋭化してしまいました。そういうことを知ってなお、外国人参政権に賛成する人がいるのでしょうか。

 八木 だいたい、「かわいそうだ」ということから話が始まるのです。しかし、本当にそういう問題なのでしょうか。アメリカのある州では、外国籍の人には税金を多く課しているという話を聞いたことがあります。いわばスポーツクラブなどの「ビジター扱い」です。つまり、「インフラを整備し治安を維持するために、住民たちはこれまで多くのお金と汗を費やしてきた。それが出来上がったあとにやってきた外国人に『長年住んできた住民たちと同じように扱え』といわれても困る。メンバーとビジターは違うのだから、ビジターは余計にお金を払うべきだ」ということです。「税金を払っているんだから、地方参政権ぐらい与えても」という理屈は成り立たないのです。

 三橋 そもそも外国人というのは区別されるべき存在で、区別が要らないのならパスポートだって要らないわけです。たとえばシンガポールでは、女性が外国からシンガポールに働きに来て妊娠した場合、国外追放です。生まれてしまうと子供に国籍を与えなければならなくなるからです。

 基本的に外国人が移民してきたり、あるいは働きに来るのは、その国に魅力があるということです。である以上、受け入れ側としては、無制限に流入しないように防衛する必要がある。シンガポールの話に私はかなりショックを受けたのですが、でもそれが世界的に見れば当たり前なのです。

◇全体主義社会を誕生させる究極の法案◇

 八木 次に、成立しそうな「危ない」法律はといえば、いわゆる人権擁護法ではないでしょうか。2005年には、当時の与党であった公明党や自民党の推進派の動きによって法律ができる寸前のところまで行きましたが、自民党のなかの保守派が一生懸命止めて事なきをえました。これに対し民主党は同年、「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案(人権侵害救済法案)」を提出しましたが、自民党の人権擁護法案より、さらに危険なものでした。これは終わった話ではなく、「民主党政策集INDEX2009」でも、「速やかに実現する」としています。

 三橋 人権擁護法案にしても人権侵害救済法案にしても、問題は「人の心」という、本来は他人に量ることができないものを強制的に法律で裁こうとする点です。

 たとえば私は韓国経済が危機的状況だと分析する書籍を書いていますが、この法律の成立後には、私の本を読んだ在日韓国人が「私たちは非常に侮辱されたと感じた」と主張して人権委員会に訴えれば、私は人権委員会に出頭して取り調べを受けたり、自宅などに立ち入り検査されることになる。「正当な理由なく調査に非協力」とされると、過料など一定の制裁が加えられます。そして人権委員会が「人権侵害」と決めさえすれば、「指導」を受けたり、調停・仲裁、勧告・公表、さらには訴訟などという道が待っている。たとえ正当な批判であろうとも、人権委員会が「差別」「人権侵害」と認めれば制裁が加えられるようになるのです。

 そんなバカなことが、と思いますが、人権侵害救済法ができたあとにはそういう社会がやって来る。これは前代未聞の悪法だといわざるをえません。

 八木 この法案の必要性を主張する人たちは「人権侵害があるからだ」という。しかし実際には、深刻な人権侵害は年に数件あるかないかでしょう。にもかかわらず、なぜここまで強力な法律をつくろうとするのか。やはり別に目的があるとしか考えられないわけです。つまり、この法律の推進派たちが、非常に強い権限を握って社会全体を統制することを意図しているのではないか、ということです。むしろ、もしもこの法律ができてしまったら、これから次々に人権侵害なるものがつくりあげられかねない。些細なことがみんな人権侵害になるわけです。「傷ついた、傷ついた」と言い募れば人権侵害になりかねないわけですから。

 三橋 この法律の根底には、いわゆる従軍慰安婦問題や南京大虐殺問題と同じく、「自分たちは酷い目に遭わされている被害者だ」「加害者は罪を悔いていうことを聞け」という発想があるわけです。このような発想は、もちろん諸外国にもあるのでしょうが、とくに日本人の場合は、「おまえたちは加害者だ」といわれると、たとえ悪くなくてもとりあえず謝ってしまう国民性がある。それで事実関係が曖昧になり、その結果、いつの間にか「かわいそうな人たち」に対して逆らえない空気が生まれてしまうのです。

 八木 差別に対する「糾弾」を、国レベルでシステム的にやろうというのがこの人権侵害救済法案なるもので、それは普通の人にはもう耐えられないですよ。「一罰百戒」という言葉がありますが、1件でも身近にあれば、もういっさいそういう問題については口をつぐむようになるでしょう。

 三橋 しかもこの法案では、友人とこそこそ話をしただけで、「あれは俺の悪口をいっているのだ」と訴えられて、それが通ってしまう危険性がある。証拠は要らないのです。これは明らかにおかしな話で、これでは誰もが過剰反応せざるをえません。非常に閉鎖的な「密告社会」が生まれることは間違いありません。

 八木 私事ながら、数年前にまさに「自分の悪口をいっている、名誉棄損だ」と訴えられたのですが、私の場合は裁判所が正当な結論を出してくれて全面勝訴しました。しかし、この法律が成立すれば、人権侵害の場合はそういう裁判所の判断ではなくなる。人権侵害を特別に扱うセクションができて、そこが事実上の捜査権・司法権をもち、そこでレッテルを張られて制裁を受ける。それに対して上告もできないわけです。保守言論を目の敵にした「保守狩り」も十分考えられます。『Voice』誌だって危ない(笑)。

 三橋 たとえば、北朝鮮に家族を拉致された家族会の方々の活動に対して、朝鮮総聯に関係するような人たちが「あの家族たちの言い掛かりによって、われわれは非常に苦痛を受けている」と訴え出たらどうなるか。いくら一般から見て、どう考えても家族会が正しく、言い掛かりでも何でもないと思えても、訴え出た人が「言い掛かりで傷ついた」と感じ、新たに設立される人権救済機関がそれを認めれば、「人権侵害」と断ぜられて終わりです。

 八木 左翼団体が組織の生き残りを懸けてこういう法律を推進していることが、さらに問題を厄介にしています。民主党の「人権侵害救済法案」では、内閣府の外局として中央人権委員会を設立し、都道府県知事の所轄の下に地方人権委員会を置くことになっています。そして中央人権委員会も地方人権委員会も、委員長および委員の任命について「NGOの関係者、人権侵害を受けた経験のある者等を入れるように努めるものとすること」と書かれている。ここまで書かれると意図は明確ですが、この法案ではさらに「内閣総理大臣又は関係行政機関の長は、中央人権委員会から意見を提出されたときは、その意見を十分に尊重するものとする」と、意見尊重義務まで謳っている。まさに「人権委員になりたい人たち」のための法律だと考えるほうがいいでしょう。そして社会全体は萎縮し、非常に窮屈な全体主義社会が誕生する。

 三橋 これは一言でいうと、既存の支配層の人をひっくり返そうとしている「革命」なんです。

 八木 三橋さんのお書きになった『新世紀のビッグブラザーへ』でも、男系の皇位継承が男女平等に反しているとされて「皇太女殿下」が誕生することとなり、外国人とのご成婚が画策される社会が描かれている。それに対して反対すれば人権擁護法で「外国人差別」とされてしまうわけですね。

 三橋 『ドラえもん』というマンガに、「ソノウソホント」という秘密道具が出てきます。これは「それを口に付けて嘘をいうと、嘘が現実になる」というものですが、これに勝てるものはない最強の道具といえるでしょう。人権擁護法案あるいは人権侵害救済法案というのは、まさにそれなのです。あらゆることが人権侵害だといわれたら、もうそれで終わりですから。まさに究極の法案だと思います。

◇またもや教育崩壊の危機に◇

 八木 いま、民主党を支持する左翼団体が人権委員会をつくって存続を図っているという話をしましたが、同じようなことが、いわゆる官公労組の問題にもいえるでしょう。冒頭にも申しあげたように自治労や日教組、国公労連(日本国家公務員労働組合連合会)などが民主党を強力に支持してきたわけですから、民主党政権の誕生により、どう考えても彼らが生き残ることになるわけです。たとえば年金問題で、なぜあんなに年金記載がずさんだったのかといえば、社会保険庁の労働組合の連中が仕事をサボったからです。それがいちばんの問題だったにもかかわらず、あの当時、安倍政権が悪いからだと責任転嫁されてしまった。そういう問題を起こした張本人たちはそのまま生き残って、結局は何も変わらないことになるのです。いま霞が関の官僚がいろいろと批判されていて、民主党も批判の急先鋒です。たしかに、これまでの自民党政権は霞が関のキャリア官僚との関係が深かったのかもしれません。しかし民主党政権は霞が関のいわゆるノンキャリアや、あるいは地方自治体の自治労などと関係が深い。公務員支配という意味では何ら変わらないのです。

 三橋 「官僚イコール悪者」という単純な官僚叩きには、以前から胡散臭さを感じてなりませんでした。民主党も盛んに霞が関批判を繰り返しましたが、官公労組に支援された民主党が「公務員改革」などと主張するのには笑うしかない。

 結局あれは一種の「魔女狩り」なんです。官僚にももちろん悪い部分があるのだろうけれども、100%悪いはずもない。しかし「官僚が悪い」という空気に日本人が呑まれてしまい、霞が関批判をしただけで選挙に当選するところまで最終的には行ってしまったわけです。しかし、経済問題はとくにそうですが、一部の悪者をつくってそれをみんなで叩くことによって、本当の問題が覆い隠されてしまいます。そちらのほうが深刻な問題です。

 八木 私が懸念するのはやはり日教組です。日教組出身で民主党代表代行・参議院議員会長の輿石東氏も「教育の政治的中立はありえない」と公言しています。いずれにせよ教育政策で日教組路線を突っ走ることは火を見るより明らかです。これで安倍内閣のときの教育再生はゼロベースに戻されるどころか、もっと押し返されて、教育はまたぞろ崩壊に向けての動きを加速するでしょう。ゆとり教育的な方向が復活するかもしれませんし、教育基本法を再改正するという方向になるかもしれない。歴史教科書なども村山内閣のころの内容に戻るかもしれません。

 教育政策以外でも、ネクストキャビネットではこれまた日教組選出参議院議員の神本美恵子氏が子ども・男女共同参画担当大臣になっていました。このテーマも日教組がやるのでしょう。となると、ジェンダーフリーはどんどん推進されるでしょうし、おそらく「子どもの権利基本法」も成立へ向けて動き出すでしょう。民主党の年来の主張ですから。

 三橋 「子どもの権利基本法」ができると、最終的には子供が親を訴えることを推奨されるような社会になっていくでしょう。すでにさまざまな地方自治体で「子ども権利条例」のようなものが制定されていますが、まさにそのような内容が盛り込まれているのですから。まさしくコミュニストの臭いがふんぷんたる政策です。

 八木 たとえば札幌市ではすでに条例がつくられ、子供の人権侵害を相談し、権利を救済する機関が設置されています。これは人権擁護法あるいは人権侵害救済法の「子どもの権利」版と考えればいいわけですが、その相談救済機関には、子供自身が訴え出てもいいし第三者が訴え出てもいい。訴え出れば、相談に乗ると称して、いろんな事実上の捜査が行なわれ、社会的な制裁も行なわれるということです。ほかにも「民主党政策集INDEX2009」に書かれたことはどんどん法律になるのではないでしょうか。たとえば、国立国会図書館法を改正して恒久平和調査局を設置し、日本の戦争犯罪をことさらに言い募る機関をつくったり、靖国神社をないがしろにする国立追悼施設の設置への動きを強めたり、夫婦別姓を制度化するなどということが進むでしょう。根拠になる法律制定への基本的な考え方さえ決めておけば、日本の行政は前例踏襲ですから、それを根本的にひっくり返すということにはなかなかならない。数年後の実現に向けて審議会をつくったり、着々と楔を埋め込んでいくことでしょう。

 三橋 そこはまさに村山政権のときと同じですが、あのころと決定的に違うことがあります。それは一般の人たちが、マスメディア以外にインターネットという情報交換手段をもったことです。もし希望があるとしたら、そこにしかない。相手の強みは強みとして、自分たちの強みもきちんと理解したうえで動くべきでしょう。たとえば国籍法改正案の問題がありました。ここではその中身の善し悪しは論じませんが、あれを問題にした人たちがインターネットにいっぱいいたわけです。ほとんどは、私よりも年齢が下の世代です。その人たちが一斉に推進派と思しき政治家に抗議のファクスを送った。それで事務所の業務が止まってしまったところも多かったようです。これはインパクトありますよね。その抗議を受けた河野太郎氏などの政治家たちは「一部の右翼勢力の仕業だ」といったそうですが、一部の右翼勢力だけでそんな大変な数になるわけがありません。しかし、それはインターネットがなかったらとてもできなかったことです。

 八木 われわれも左翼勢力に負けずに、日本を守るために繰り返し何度でも批判を展開せねばなりませんね。